東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)73号 判決
一、抗告審判請求の日を除くその余の原告主張の一の事実は当事者間に争いがない。
二、そこで本件抗告審判請求の日について検討してみるのに、各成立に争いのない甲第三号証及び乙第一号証に弁論の全趣旨を総合すれば、本件抗告審判請求書の郵便局受附日について、一方これを封入した封筒における郵便局の消印記号は昭和三六年七月二五日午前八時より一二時までとなつているのに、他方この郵便物を受入れた東京杉並大宮前郵便局の書留郵便物受領証における消印記号ではその前日である同月二四日午後〇時より六時までとせられている事実が認められ、証人桜岡祐次の証言によれば、右郵便物は同証人においてその受附手続をしたものであり、この郵便物は郵便物受領証の消印記号にある通り昭和三六年七月二四日午后〇時から六時までの間に東京杉並大宮前郵便局において受附けたものに相違ないのであるが、当日手違いのため封筒への消印記号の押印を忘れ、翌二五日になつて押印した手続上の過誤によつて前記のようなくい違いを生ずるに至つたものであることが認められる。
そして旧商標法施行規則第一六条によつて準用せられる旧特許法施行規則第一七条第一項によれば「特許願書又ハ差出スベキ期日若ハ期間ノ定アル書類若ハ物件ノ郵便ニ依ル差出ハ郵便物受領証ニ依リテ差出シタル日時ヲ証シタル場合ニ在リテハ其ノ日時ニ於テ其ノ他ノ場合ニ在リテハ消印記号ニ記載シタル日時ニ於テ其ノ効力ヲ生ズ」るものとせられており、本件における抗告審判請求書の差出日は前記の郵便物受領証によつて昭和三六年七月二四日であることが証明せられているのであるから、本件抗告審判は右の日にその請求がせられたものと解しなければならない。
三、被告は抗告審判請求書を封入した封筒における消印記号の日附通りに認定した審決には何等の違法もないと主張するが、前記旧特許法施行規則第一七条の規定からいつても、郵便物受領証によつてその差出日時が証明せられた以上、この証明は消印記号によるそれに優先するものと解するのが相当であるから、右被告の主張はこれを採用することはできない。
四、以上の通りであるから、本件抗告審判の請求は昭和三六年七月二四日にせられたものであり、この請求は三〇日の決定期間を遵守した適法な抗告審判の請求といわなければならない。
従つてこれを法定期間を徒過した不適法のものとした審決はこれを違法とするの外はなく、その取消を求める原告の本訴請求は正当である。